ちょっと面白いblog記事を読んだ。
タイトルは「これからの30年を考える7つのメガトレンド」
いゃあ、実に面白い。
注目すべきトレンドであることには間違いないし、個々の項目に書かれている事もまぁ、許容できる範囲である。
が、7つを大きなひとつのトレンドとして纏めて良いかどうかは、別の話である。
ここで上げられたのは下の7つ。
1.加速する人口増加-2050年に人口90億人に-
2.枯渇する自然資源 -現在の生活スタイルを続けるには地球2個分の資源が必要-
3.高齢化する社会
4.リアルとネットの融合 -不可欠なインターネット-
5.個人、市民、NPOの台頭 –Power to the people, power of the crowd-
6.変わる組織 ピラミッドからネットワーク型へ
7.Happyが中心の産業の進化 –マーケットの成熟とサービスの進化-
それぞれ裏付けのデータもまともな考察もあるのだが、まぁ、思うところをツラツラ書いていこう。
あ、今回は別に、著者さん個人に何ら思うところはあるわけではありませんので、あしからず。
まずは、1.と2.。
いきなり矛盾してる。
地球2個分の資源が必要なんだよね? じゃあ、何が人口増加トレンドを支えるの?
「1.」
は先進諸国での人口増加トレンドが横ばいに変化するものの、アジアでの爆発的人口増加のため、このままであれば2050年には人口90億人になるよ、とい
う国連/人口白書のデータを引用している。・・・のだが、そのトレンドを維持するための資源について言及していないのだ。
人口が増えれば、必要な
資源量も増える、が、今ある分全部使って足りなくなったとき、それでも人口増加トレンドは維持できるの? あるいは地球2個分で足りるの? 提示してある
データは、消費が拡大している原因は生活水準の向上にあることを示しているのであって、人口増加は含まれてないんだよ?
並列に書かなきゃ良いのに・・・
次に「3.」
1.社会保障費の増加. 2.世代間格差
3.労働人口減少、の3つは、「世界的」に問題になりません。人口トレンドが増加ではない先進国だけで問題になります。そして移民が流入する事により資産
は流出し、1.増やしたくても増やせない社会保障費、2.ごく一部の富裕層をのぞいてすべからく貧困層に転落した結果の世代間格差解消、3.自国の労働者
人口が減少しているにもかかわらず高どまりする失業率 が問題になるのですよ。先の3つのような贅沢な悩みは、あと10年も続きませんって。
そして「4.」
この人は「デジタルデバイト」という単語を知らんらしい。世界には、たとえば未だに「銃の分解清掃はお手の物だが地球が丸い事は知らない」という人たちがとても多く存在する事を知らんらしい。
そして、たとえ技術への垣根が低くなっても、使われる方向がそんな狭い範囲にとどまるわきゃない。例えばソマリアの人たちが(全員じゃないけど)最先端技術を駆使して立ち上げた事業は「海賊」なんだよ。GDPの半分以上は海賊業のアガリだ。
それとも筆者の言う「世界」とは、十分な金と教育の機会にありつけて、技術を社会貢献や世界の発展のためだけに使う人だけで成り立ってるのかね。
まぁ、そういう世界のひとたちだけの話なら、正しいと思うよ。うん。
でもって「5.」
市民活動が力を持てるのは、ある程度の富が市民にあるから。いまはそういう時代だね、たしかに。
でもさ、1.から3.で説いたように、人口が爆発的に増加して、資源が足りなくなって、少子高齢化問題がのしかかってきた状態で今の富を「市民」が維持できるの?
いや、言い換えよう。「市民」という状態を維持できるの? 食うに困らない富裕層と、日々食べるために低賃金で働く層に2分されるんじゃないの? 「4.」で(Super competition を引き起こす)と、自らそれを示唆してるよね。
生きるために食べるような階層は市民階層じゃない・・・はぁ、そうですか。
さらに「6.」
エジプト、リビア、チュニジアなどで起った革命を知らないのか、と呆れてしまう。
あれらの革命の発端は確かにFacebookを代表とするソーシャルネットワークだった。がしかし、リーダー不在だったかね?
実際に事を起こし行動し、何かを成し遂げるには役割分担が必要なのだ。
つまり実際に事を動かす「手足」と動かし方を考える「頭」が。手足が個々に考えたのでは、いくら連携しても統一した動きはとれんのだ。ピラミッドの上下左右の風通しと移動ははるかに容易にはなるが、決してネットワークにはならん。
このあたりは、「伽藍とバザール」でも読むべし。ただし、注意深く。
極めつけは「7.」
「だれ」が、そのハッピーなサービスを享受できるのか、という視野がスッポリ抜けているんだな。
自分は貧困層というか、この記事で描いている「世界」の外にはみ出る事はない、と、信じているのだろう。
Industry Shift が成り立つのは資源や富が潤沢な今の一部先進国の、ある程度の富を持っている者だけだ。
アジアをはじめとする新興国も、どんどん豊かになっているから新たなターゲットになる?
寝ぼけてるんじゃないよ。
最初に何て説いたか忘れたのかい?
一定水準に達したら、人口は増えるのに食料も資源も足りない世界が来るのだよ?
そういう時代に、いったいどれだけの人がHappinessを提供したり享受したりできるのか。
少なくとも生存競争に無縁な層はなくならないとしてもマジョリティじゃないわな。
で、ここで説いてるメガトレンドって、富裕層マイノリティ向けの話だっけ。
なるほど、そりゃあ失敬。
結論。
ひとつひとつが正しくても、安易にまとめて並べちゃいけない