2011年12月19日月曜日

仕事は楽しいかい?

大抵の人にとって、仕事の時間というのが日常のほとんどを占める。ゆえに仕事・職を何にするかはなかなかに重要な選択になる。
特にこの国では、まだまだ「就職=就社」なので、そこはかなり悩みどころだと思う。
なので、「自分にあった職」だの「自己実現できる職」なんぞがキーポイントとして、世にあふれることとなる。

しかし、自分の仕事が好きな人がマジョリティなのか? と聞かれると、必ずしもそうではないと思う。
仕事としてプロとしてお金を稼げるかどうか、が一番大切なことであって、食べていけないのであれば、趣味の域をでるものではない。だから好きな趣味が高じてお金を稼げるようになるのは最高にハッピーなことだけど、皆がそうなれるわけではない。
ゆえに「生活のため」と割り切って仕事をする人たちが、ほとんどを占めると思う。
もうひとつ重要なこととして、好きか嫌いかではなく、楽しいかどうか。

私が思うのは、
 「仕事が楽しい
のではなく
 「仕事をしていると楽しいこともある
のが真実じゃないかと思う。

無論、好きな仕事をしている人とっては「仕事は楽しい」なんだろうけど、そうじゃない人にとっては仕事なんぞ作業である。たとえそれが、どんなにクリエイティブな事だとしても。
でも、そうであっても、例えば「自分が手掛けたモノが世に出る」だとか「お客さんが喜んでくれた」などなど、嬉しくなることがある。だからこの仕事を続けているんだ、という人も多い。
それは、仕事が楽しい、のではなくて、仕事を通じて楽しい瞬間に出会うことがある、だけである。
ここを間違えると、仕事をしていて楽しくない=この仕事は自分に向いていないんじゃないか、などという不幸なスパイラルに陥るし、自己実現だの何だの、仕事に人生を重ねる不幸と悲劇を繰り返すんじゃないかな。

2011年12月12日月曜日

診療報酬と手術

先日のニュースで「当直明けの手術、やめれば診療報酬加算 厚労省方針」という記事が出ていた。
で、これについてのtwitter上の意見をまとめてあったのが、コレ
見ていてとても興味深かったので、ちょっとしたメモの意味を含めて、ここに感想を書いておく事にした。
見てもわかるとおり、否定的な意見がゾロゾロと出てきている。で、いちいちもっともなんだけど、じゃあこの人たちは、今回の診療報酬加算について反対なんだろうか。反対する理由なんかないと思うけどね。なぜなら「代わりにホニャララの点数減らします」って言われてない。
つまり、当直明けに手術をしても現状維持、手術が当直開けじゃなかったら収入増。なんの不満があるのよさ? で病院によっては当局の狙い通り、この 加算で増える収入と余剰人員を抱えるコストとをにらめっこして、当直明けの手術を減らすシフトに組み替えるでしょう。それって、あんたたちが楽になるん じゃないの?
実を言うと、ここで主張してる人たちの気持ちがわからないではない。「そんな実効性の出なさそうなところに貴重な原資を使わないで、もっと有効な手段を考えてくれ」と言いたいのだろう。
あえて言いたい。その態度が気に喰わない。だったら今回の当局の方針でかかる費用で実行できる実効性の高い対案だせよ、と。
今回の件に限れば、黙っていても収入が増えるだけで、うまくいけば激務が緩和される可能性もある。にもかかわらず、子供がダダをこねるようなイヤイヤしかできないヤツは邪魔にしかならない。
対案が出せないなら黙ってなさい。

2011年11月27日日曜日

通勤時間がなくなって

無職になったわけではありません。
毎日ではありませんが在宅勤務が可能になったので、(該当の日は)通勤しなくてすむようになったということです。
わかっているとはいえ、仕事や生活がかなり変化したので私的なメモをかねてここに一筆というわけです。

まず、仕事時間。時間管理ができない人には難しい勤務形態というのは誰もがみんな想像できるのですが、これ、みなさん負の意味しか考えていないと思うんですよね。つまり、時間になっても仕事しないとか、業務時間に仕事してないとか。でも実際逆ですね。
あ・・・と気付くとお昼時間終わってたり、んー・・・薄暗くなってきたなぁと思ったら終了時間過ぎてたり・・・。
そうなんです。周りに人がいないという事は、誰もお昼に誘ってくれないし、今日はあのお店でホニャララ食べたいな、とか考える必要がなくなる分、区切りがつかない。
これ、一人暮らしでかつ時間管理がダメな人だったら、ずーっと仕事し続けておかしくなっちゃうんではないかと思いますね。

そしてもうひとつ大きかったのは、無駄な時間の大切さ。
平たく言ってしまえば、同じ職場の人との雑談がなくなったことです。コレ、良い事ばかりではないんですよ、実は。
仕事そのものの効率はポンっとあがります。無駄話はされることもすることもありません。誰かが「ついでに」席に寄ってきて、仕事を中断されることもなくなります。
もちろん電話は鳴りますが、無駄話するために電話する人はいませんから、特にあれこれ思考する必要がある場合、かなり良い環境です。
で も、これが裏目に出るのが「うまくいってないとき」や「なんとなく不安があるとき」なんです。オフィスにいる時は、「あってるはずだけどなんとなく不安」 なことがあると、左右の人に「ちょっとすみません。ホニャララについてなんですけどね・・・・」と教えてもらう事ができたり、プレッシャーでつぶれそうな時に雑談で気が紛れたり、なんてことがあるのですが・・・電話では不可能なんですよ。
もちろん、本当に困っている時は同僚や上司に助けを求めますよ。でも「あってるけど、なんとなく」ではちょっと気が引けるんです。
自分の場合はかなりワガママなので、そうは言いつつ、いろんなひとに電話したりメールしたりしてますが、ちょっと気の弱い人だとまさに「孤独との戦い」になるのではないかなぁ、と思います。
職場のとある年配の方が「在宅勤務はな、君みたいに相当気の強い人でないと無理やで」と言われて、なんじゃそりゃ? と思ってたのですが、今ならわかりますね。

在宅勤務っていうのはとっても魅力的な勤務形態だけど、こんなこともあるんだよ、というおはなしでした。

2011年11月26日土曜日

ジェンダーについてあれこれ

なぜか最近 (でもないか・・・) ジェンダーについていろいろとツイッター上で見かける。
「旦那はウンタラ」「専業主婦はドータラ」「ミスコンはアーダコーだ」などなど。
私の意見としては、そもそも全く同じ等ありえん。生物学的に違うのだから。
ここに根源をなす部分は、どうしても超えられない壁なのだから、同じか違うかの議論をしてもしゃーないやんけ、ということである。
一方、性差が全く関係ない、という事象もたくさんある。
たとえば力仕事。一般に男性がするものという「通念」があるが、個人差に収束するので関係ない。断っておくが、重量上げのような特殊な場合は想定していないのであしからず。
グダグタ書いていて、なにが言いたいかというと「相手の立場がうらやましければ、その立場になれば?」ということである。

2011年11月8日火曜日

国民皆保険制度と混合診療 再び

日本の国民皆保険について、利用者側からの制度はそれなりに良く知られていますが、では中身はどうなっているかというと、twitterでエラそうに講釈を垂れている人も実は知らないことが多いようなので、ここで再び。
日本では、病気になって病院にかかる場合、普通は保険診療を受けます。つまり保険証を出して、保険で認められている治療を受けて、治療費の7割を保険に払ってもらうのです。
で、混合診療というのは、この保険で認められている治療と認められていない治療を同じ保険医から受ける事を言います。
今の制度では、こういうことをすると本来保険でカバーされている部分も含めてすべて自費でまかなう必要がある、というのが当局の言い分です。
「ん?」と思われる方が多いでしょう。
例えると、「何でマクドのセットメニューに、ナゲット1品追加したら全部単品の値段になるんだ?」というのは当然にみえますよね。
ところが、日本の保険でカバーされている治療や薬の範囲というのはとてつもなく広い範囲なんです。それは、すべての人が平等に必要な治療を受けれる、というのが大前提だからなのです。そして、ここで受けた治療によって健康被害を受けた場合、国からちゃんと補償してもらえるのです。
なので、新薬が創られ臨床試験で効果が認められると、承認と同時にほぼすべからく薬価収載され、保険によって薬の値段が決められます。これによって日本で承認された=保険で治療が受けられるという構図が出来上がります。
これが適用されないのは、例えば高価なセラミック義歯やバイアグラなど「なくても困らない」ものです。
しかしながら、最近の問題としてドラッグラグというのがあります。海外で認められている治療にもかかわらず、日本で承認・薬価収載されていないために、自費で治療しなくてはならない、という事態が起こっています。この場合、先に述べた通り承認されている治療費も自費になっちゃう。そしてこういうケースは大抵元々の治療が高額な場合が多い。だから裁判沙汰にもなったのです。

で、混合診療解禁論者たちは言うのです。さっきのマクドの例のように、承認されている治療は保険で、その他は自費でいいじゃないか、と。
うん。今は良いんですよ。それで。
お金に余裕がない人も、追加治療分だけ自費で負担すれば最新の治療が受けられる!! でもこの人たちはその先の事なーんも、これっぽっちも考えてないんです(もしくはわかってて儲ける事しか考えていない)。

たとえば製薬企業たちは混合診療解禁になったら、どういう方針を取ると思います?
何が悲しゅうて、大枚はたいて開発した新薬の値段を役所に決められなきゃならん? 言い値での売買が法的にOKになるんですから薬価収載しなくなるでしょう。承認申請すらしなくなるかもしれません。個人輸入でどしどし買ってくれるんだから、何百億もかけて臨床試験する義理はないですわな。命がかかってるなら尚更。
そういうときの為に民間の高ーい保険に入るか、保険を諦めて病気になったら死を待つか、2択な世になるんですよ、アメリカみたいに。
ちなみにアメリカの保険会社がカバーする基準も「FDAの審査にパスしているかどうか」ではありませんよ。参考にはしますけどね。

まぁ、医師の側からみれば、今の保険制度は必ずしも良い制度ではないんです。どんな名医でもヤブ医者でも、同じ治療をすれば同じ診療報酬ですから。
さて、混合診療解禁になった時、特に腕に自信のある医師が、黙っても患者が「是非看てください」とお金を積んでいく状況で、保険医続けると思います? 反対に、保険医を続けるカテゴリーに入る医者たちのレベルってどうなんでしょう・・・命がかかった病気に罹ったとき、あなたはどちらを選びます? ま、選択肢はお金持ちにしかないんですけどね。
こういう末路なんですよ。混合診療の解禁っていうのは。
推進論者はこういう事実を知らない能天気な連中か、「知ってて」黙ってる腹黒い連中のどちらかです。格差が縮まる? 寝言は寝てる時だけにして欲しいもんです。

2011年11月2日水曜日

電子書籍と著作権

電子書籍について、いろんな誤解があるように思う。まぁ、自分も誤解しているのかもしれないが・・・
まず、「紙媒体はちゃんと構成等が練られているが、電子書籍は云々・・・」って、んなわけないでしょうが。電子書籍なら版組や校正なんかのコストが いらなくなるとか余計にかかるとか、わけがわかりません。そりゃあ独特の工程は入るし不要な工程は削られるでしょうよ。でもそんな劇的にかわりませんっ て。第一、出版のコストに対してそこんとこ、そんなに大きかったですかねぇ・・・
再販制度のおかげ(?)で抱え込んでいる返品本の山とどっちが経営を圧迫するか、ちょいと考えればわかりそうなものですが。
で、もっと驚いてズッコケそうになったのが、「電子書籍のみになって紙媒体がなくなると焚書が起きる」ってRTもらったときです。
いや確かに、amazonで購入したkindle本の「1984」と「動物農場」を勝手に消したのは事実ですが、それを一般化されてもなぁ・・・
要は、著作権保護と消費者保護のバランスの問題であって、「だから電子書籍は・・・」っていうのは無茶です。
著 作権ってのは、作者の「自分の作品を広く世に知ってもらいたい」という願いと「自分の作品を与り知らぬところで勝手な扱いをされたくない」「自分の作品に 対する正当な評価とそれによる正当な報酬を得たい」という相反する思いをうまく両立させるためのものだと思うのですよね。それが結果として、作者の創造意欲につながるのだと。
こんな話をするのは、とどのつまり、先に例を出したような「焚書」もどきが起こるのは、この著作権の使われ方と使い手が悪いのだと考えてるのです。
お金を出して買ったものを、作者(あるいは著作権保有者)の意に染まぬという理由で手元から消せるってのは、作者の創造意欲につながってますか? 「俺の作品が、俺が嫌だと言ったらこの世から自由に消せるようになった。よし、次の作品創るぞ」って思う人、いるとおもいます?
つまりは、作者の創造意欲だとか作品に込める思いなんかと全然別のところで運用されているのです。それによって創造をしないでも利益を上げれる連中によって。
だから私は著作権の保護と拡大を叫ぶ連中には叛旗を翻しています。

2011年10月25日火曜日

電子書籍

i読が話題になっています。
本の綴じ込みハガキを送ると電子書籍がもらえるというサービスです。
i読の方から直接RTをもらって、中の人もいろいろ考えてがんばってるんだなー、というのは伝わってきます。
だがしかし、まずもって国内の出版業界は全滅するでしょうね、海外勢によって。
良い例がCDとipod/iTunesという形で目の前にあるのに何も学ぼうとしない態度をみると「早く海外勢に潰されてしまわないかなぁ」とapple や amazonに期待してしまいます。
iTunesがここまで普及して成功している理由は、
いま手元にあるありふれた端末で、欲しい曲だけ買えて、その場ですぐ聴けて、好きなようにデータを使えて、そして安い。
逆にCDは、
お店に行かないとダメで、アルバムと称して聴きたいかどうかわかんないものも抱き合わされて、とりあえずはCDプレーヤーかパソコンに取り込んで、何かする度にコピーガードうんたら、で値段3倍。
勝負になりませんな。
じゃあ書籍で成功しようと思ったら、iTunesのままをすれば良いのに。すなわち、
日本独自規格なんかやめて国際フォーマットを採用して、利用方法に制限を付けないで、価格を低く抑える。
そして、YouTubeみたいに誰でも使えるフラットフォームを提供して、これからの作家を取り込む。
こうしないと、appleかamazonが彼ら独自ののプラットフォームを提供したとき、今からの作家は皆そちらに流れてしまうぞ。
そうなったら、過去のコンテンツで食べている今の出版社に未来はない。せいぜい著作権を延長するくらいしか対抗策はないのだ。
まぁ安く手軽にたくさん読めるなら、それでもいいけどね

2011年10月23日日曜日

日韓通貨スワップ協定にみえる危うさ

今月の12日、何をトチ狂ったか日韓通貨スワップ協定の限度額を現在のおよそ5倍まで拡大しました。
twitter上ではあたかもこの額の資金を韓国に丸々わたすような誤解があり、かなりいろいろなtweetが飛び交いました。実際には、韓国が取引に外貨通貨を必要とするにもかかわらずすぐに準備できない場合、日本にウォン預入れることで、日本円やドルを受け取れます。
で、 なぜか「冷静に火消しをする」連中は、曰く「お金の融通額を拡大しただけで、あげるわけではない」「返せない場合も棒引きになるわけではない」「韓国経済 がクラッシュする方が大変だ」「欧州がギリシャで大変なので、日本しか資金融通できない」などなどフザケた擁護をしています。
「通常」の通貨スワップ協定ならばそれも正しいのです。
例えば会社に例えると、黒字経営なのに手持ちの運用資金がクラッシュするために倒産、なんてことがしばしば起こります。要は自分の借金はすぐに支払わないといけないのに、売掛金の回収が何ヶ月も先になるので不渡りが出てしまうのです。
いま話題の松下でも創業期に同じような事が起こりました。で、銀行に資金融資を依頼に行ったら、その時の担当者は帳簿を仔細に調査して、次のように言ったそうです。
「う ちからわざわざ金利のついた金を借りなくてもよろしい。かわりに毎日、仕事が終わったら従業員全員で売掛金を回収に回りなさい。それで十分です」と。なん とまぁ、今と違ってキッチリした調査能力と社会に対する責任感をお持ちだったようで。で、結果、松下は倒産する事なく今の姿を残しているわけです。
話がそれました。
つまり、国家でも貿易の際に同じことが起こるのです。このとき短期的に資金を融通してもらう仕組みが通貨スワップ協定です。何だ、なにも危ない事はないじゃない、と思うのは早いわけで…
まず、韓国の外貨準備高3000億ドル・・・本当ならこんな協定なんぞいらないわけです。すなわち、こんなお金本当はなくて支払いが滞りそう(すな わちクラッシュしそう)なので慌てて協定を結んだ(結ばせた)、と見るべきです。つまり、韓国がクラッシュすると進出している外資系企業は大損をするの で、彼らとしては時間を稼ぐとともに資金を可能な限り引き出して損失を押さえたい。さりとて自分たち(西欧諸国)がIMF経由で融通していたのでは自分の お金を付け替えるだけなので意味がない。そこで、日本に通貨スワップ協定の形で資金を融通させ、外貨を引き出して損失を最小限に抑える。丸損なのは日本の み、というわけです。
なので、日本としてはこんな協定結んではいけなかった。だいたい危ない資金を融通できる程に日本の財務状況って良かったですか? G20で毎度のよ うに「おまえは自分の借金なんとかしろよ」って爪弾きにされてるんですよ? 韓国がデフォルトになると日本も大変?韓国は大事な黒字貿易先? 一時的には 損失は出るでしょう。けれども貿易は何も1国だけを相手にしているわけではないのです。韓国相手に取引している産業は韓国がデフォルトを起こせばその他の 国に移ります。そこと取引すればよろしい。
最後に「国際的な信用を失うのでデフォルトの可能性は限りなく低い」なんてことを言っている方がいますが・・・リーマンショックの引き金を引いた事で既に信用なんぞありません。だからこそ外貨準備に手間取っている、ということをお忘れなく。

2011年10月16日日曜日

国民皆保険制度と混合診療

先日のTwitter上で「混合診療を認められると格差が縮まる」と主張している、超のつくどあほうがいた。何故それがデタラメで、それは格差を広げるだけの、如何に医療アクセスをダメにする愚策かをここに記しておく。
まず混合診療推進派は、市場原理にもとづいて「お金を支払う意思のある人を、医療にアクセスさせないことは悪である」と主張する。
が、しかし、市場原理に基づく資源配分は,財力がない人々を資源の配分から排除する。
つまり、混合診療の解禁は、お金のない患者を必要な医療から排除する、言いかえると「おかねにもとづく配給制」を実現するにすぎないことが理解できていない。
国庫にお金がうなっているわけではないのだから、混合診療によって医療保険の「私」すなわち「民間」部分は拡大し、「公」の部分は徐々に減る。
これは、「負担の逆進性」の推進以外のなにものでもない。「公」が「減る」あるいは「増えない」以上、民間保険でしかカバーしない医療の割合は増えるゆえに、「民間」の保険に加入するお金がない患者は「無保険者」である。
「公的」な保険がある? えーっと混合診療を推進する連中の主張の根拠はなんでしたっけ? そうそう、保険にない医療「だけ」を自費でってことでしたね。つまり「公的」保険による医療は役立たずなんでしょう? その割合を「増やせ」と主張してるのですよ、あなたがたは。
なのに公的な保険? 理論の破綻は明白ですな。
そして公的保険による官製市場の割合が減り(今は原則100%ですからね)「民」が自由に価格を決め るようになれば、保険を持つ患者と持たない患者で実際に負担する医療費に差がつくのは当然。
これを「医療負担の逆進性」といわずなんというのか。
アメリカと同様、個人が医療によって破産する時代になるのは、火を見るよりあきらかなのである。

2011年10月14日金曜日

感染症と予防接種

毎年、寒くなってくるとインフルエンザの予防接種について、テレビやネットをはじめ、いろんなところで騒がれ論争がまきおこる。つまり「予防接種を受けましょう」というプロモーションと「予防接種には意味がないし副作用が問題だ」という反対意見である。
で、反対派やメディアを見ていて苦々しいのが、あの連中には「リスクベネフィット」と「公衆衛生」という観点がまるっきりないのだ。
「リスクベネフィット」
報道や反対派が必ずやる例がコレ。
ワクチン同時接種後に男児死亡、6人目
でこれを見ていろんな予防接種の予定のある親御さんたちが、ブログやツイッターで大騒ぎを始めるのだ。
ねぇ、分母はいくつ?
この例でいくと約200万の接種数で6例なんですけど・・・問題ですか?
ちなみに、Hibの感染者数は>10/10万。うち死亡率5%+不可逆性の後遺症>20%ですよ?
なぜ、世界中で予防接種が推進されている中で、日本だけが取り残されているかというと、こういうリスクベネフィットを天秤にかける、という考え方をせず、ひたすらリスクだけを問題にするからです。もぅアホかバカかと・・・
これを言うと「予防接種しなければ副作用は出ない。人為的な云々・・・」という人たちが必ずいる。コイツらには次の観点がないのだ。
「公衆衛生」
予防接種というのは、何も免疫能を獲得して個人的に感染から身を守る、ということだけではなく「集団としての免疫能」を向上させるという目的があるのだ。
予防接種の副作用を避けたい、という個人的な意思の尊重はパンデミックのリスクを上昇させる。
ア メリカのカリフォルニア州で2010年に起こった百日咳の大流行は、まさにこの例。特にカリフォルニア州マリン郡というところは百日咳の予防接種を簡単に 免除してもらえるので、摂取率が他の地域に比べて極端に低い。といっても摂取率は90%を超えているし、差も5%程度なのだが・・・それでも大流行の下地となってしまっているのだ。
「人のために予防接種を受けて副作用が出たら、それこそどうしてくれる!」という連中にはこう答える。「あんたみたいな勝手な連中が感染症にかかるのは良いとして、あんたの子供がそういう勝手な連中から病気をうつされても文句は言わんのか?」
感染症と予防接種を考える時は、個人も集団の構成員だということを忘れてはいけないのだ。

2011年10月11日火曜日

放射性ヨウ素とヨウ素剤のはなし

未だにTwitter上で「ヨウ素剤を配布すべきだ」と叫んでいる人がいる。
そういう人たちは、どういう作用機序でヨウ素剤が放射性ヨウ素による被爆を予防できるかまるでわかっていない。
まずは、ただしい情報を身につけるべき。
しかしながらこれを読んでいるにもかかわらず、こんなことを言っている人もいる。
「日本人のふだんのヨウ素の摂取量が必要にして十分という ことと、新たなヨウ素を取り込まないことというのはまったく別です。我々は生きているのです、毎日細胞も新しく入れ替わっています。甲状腺も同じことで、 たとえ日本人であったとしても毎日の食事からの摂取でヨウ素をどんどん取り込む必要があります。」
・・・もう、どうやって説明して良いのやら。
甲状腺という受け皿に、食事で取り込んでいるヨウ素があふれてて、さらに毎日の食事でWHOから勧告を受ける程に過剰に取り込んでいるのに、
「それでも、「日本人はヨウ素が飽和してるんだから大丈夫」というのは暴論になると思います。」「「ウクライナの子どもたちに比べたら甲状腺へ放射性ヨウ素を取り込む量は少ないだろう」ぐらいです。」
と言う方が暴論じゃなかろうか、と思いますね。
こういう人たちは何が何でもヨウ素剤を服用させたいらしい。
さらに、もうひとつ重要な事は「放射性ヨウ素の半減期は8日」であること。流出が止まってから、いったい何日経っているか・・・2の20乗分の1まで減ってるはずなんですけどねー
過剰摂取によって甲状腺腫や甲状腺機能低下症がでたら、どう責任取るつもりなんでしょう。
無責任な押しつけをする人たちに「責任」なんて説いても無駄かなぁ。